「猿の惑星 創世記」より シーザーの手話に学ぶ
まだやっている、と思っていた「猿の惑星 新世紀」
もう一回観ようかな、と上映スケジュールを調べたらもう終わっていた。
猿達が行っているコミュニケーション。手話をもう一度観る為だった。
前作で、主人公・ウィルは、シーザーに手話を教えていた。
シーザーはその手話を仲間達にも教えていた。
あれが何の手話なのか?
「金曜ロードショー」の『猿の惑星 創世記』を録画し、2年前に劇場で見過ごした部分をスロー再生で何度も見直した。ビギナー向けのアメリカの手話本と比べてみて、アメリカ手話だと分かったので、鑑賞ポイントを使って新作「・・・新世紀」を今一度観てみよう、と思ったのに・・・
「・・・創世記」の中で、ウィルは、
『シーザーは24の手話を覚えた…』
と言い、それは更に加速度を増している。
手話を覚えた、だけでなく自分の意思を表し、会話を成り立たせている。
つまり、芸と同じで飼い主・指示者が意のままに操られるように手を動かしているのではなく、手話を言語として認識し、相手の言葉を理解する。そして自分の意思を手話と言う、可視化された方法で伝えるまでに至っている。
では・・・
シーザーは近隣者とのトラブルにより怪我をする・・・
診察する獣医のキャロライン。そしてウィルとシーザー。
①
②
③
①②③連続の手話を見たキャロラインは「何て言っているの?」と問う。
ウィルはシーザーの手話をこう訳している。
『食事に誘え、って』
③は口に手でつまんだものを運んでいる仕草で、まさしく“食べる”という手話。これは日本でも使う時がある。
分からないのは①の指先を顎に当てて、②の曲げた人差し指を伸ばしながらチョンチョンチョン、と前に進める動作。
英語の主語と動詞と目的語の並びから、最後の③の“食事・食べる”は明らか。
①は何なんだろう?
②は動きがあるから動詞…誘う?
もっと詳しく解説されている本を手に入れるしかないのかなぁ?
日本の手話とアメリカの手話は同じものが結構ある。
日本の手話は、英語の主語(S)+動詞(V)+目的語(O)または補語(C)の並びに似ているからだ。
実は、この診察室でシーザーは即座にこう表している。
掌を口の前にし、五指を曲げたり伸ばしたりしている。
ウィルはそれを制した。
掌を相手の向けて五指を曲げるのは、アルファベットの“E”と言う指文字を表す。
日本の手話では“え”と言う指文字。つまりローマ字の“E”から転じている。
獣医のキャロラインをシーザーは“エロチック”と表したのかな?と思った。
その後に『食事に誘え』と言っている。
ウィルとキャロラインはシーザーを介して急接近。
シーザーも成長し5年が経った。
ゴールデンゲートブリッジ傍の森へドライブに出かける。
シーザーも一緒だが、シーザーは首輪をつけられている。
そして同じく首輪をつけられた犬を見て、自分の立場を考えてしまう。
シーザーはウィルに問う。
掌を重ねて回している。
「ボクはペットなの?」
掌を重ねて回すのはアメリカでは“ペット”と表す。
日本でも“可愛い”とか“愛している”を意味している。
因みに“愛知県”という手話もこれで表せる。
シーザーの質問にウィルはこえ答える。
「君がペット?君はペットじゃない」
するとシーザーは・・・
親指の先を額に当てて、掌を左右に振る。
これは“父親”を表している。
ウィルは
「そうだ、ボクはお父さんだ。すると君は何?」
シーザーは手を動かすのをやめてしまう。
シーザーとウィルの溝が出来る第一歩になった。
この手話。
“父親”を表す手話で、シーザーはアメリカ手話をしていることがここで確信した。
因みに、親指が顎につけられて左右に振ると“母親”という意味になる。
シーザーは苦悩する。
薬を投与されて知能が高くなる。高くなり過ぎて人間に害をなすものとして殺されたシーザーの母親。その遺伝子を自分が引き継いでいることを認識する。
そして事件は起こる。
アルツハイマーの、ウィルの父親が近隣者とトラブルを起こしてしまう。
暴力を振るわれている、と感じたシーザーは父親を助けようと、その近隣者を襲う。
シーザーは裁判所の命令により霊長類保護センターに隔離される。
しかし、そこにいるのは人間から虐げられた猿ばかりだった。
保護センターの職員に虐待を受けるシーザー。
同じ猿たちとも反りが合わず怪我を負う。
そんな時出会ったのが、オランウータンのモーリス。
何とモーリスは手話を使った!
「キズ、痛い?」
驚いたシーザー・・・
↓
両の掌を胸の前にして、互いに前へ回す仕草は“手話”である。
これは日本でも“手話”であり、共通している。
そしてモーリスはこう答える・・・
・・・「サーカスのオランウータン」
肘を広げて手を重ね、肘を回している。
サーカスの何を意味しているのか?どうも勉強不足である。
モーリスが言った最初の
「キズ、痛い?」
の動きも、どう撮影していいか分からなかった。
モーリスは薬の影響を受けてないが、知能がとても高い。
サーカスにいたとしても手話が出来るとはとても思えない。
しかし、現実離れしたフィクションであっても、アメリカの手話が学べてとても面白いと思う。
アメリカでは手話は言語として認識されている。
アメリカで使われる言語の
一位は英語
二位はフランス語
そして三位が手話なのである。
日本はまだまだ遅れをとっているが、このほど鳥取県が学校教育の一つとして、小学校の授業に手話を取り入れることになっている。
猿に手話を教えて人間とコミュニケーションをとる試みは実際に行われている。
特にゴリラのココ(だったか?)は有名だ。
昨年9月12日に「奇跡体験!アンビリーバボー」でもチンパンジーのニモに手話を教えるプロジェクトについて放送された。
ドリトル先生ではないが、人と動物と会話が出来たら夢のようだ。
特に人間と近い猿との会話が出来れば・・・
私は、違う視点で新しい「猿の惑星」を楽しんでいる。
日本の手話を完全にこなしてはいないが、アメリカの手話にも興味が沸いてきた今日この頃である。