ロストケア
「ロストケア」
観てきました。
パンフレット
職場でも話題になっています。
ボクの職場は特養(特別養護老人ホーム)ですが、映画では訪問介護センターが舞台です。
出演は松山ケンイチ、長澤まさみ、鈴鹿央士、坂井真紀、戸田菜穂、藤田弓子、柄本明。
42人殺した松山ケンイチ演じる斯波。
殺したのではなく“救った”と言う。
介護される側だけでなく、家族も救ったことになる…
検事・大友(長澤まさみ)の言うことは間違ってはいない。正論であるが、斯波のセリフも胸に突き刺さりました。
介護の仕事をしているので映画のシーンは日常。感情移入はないし、勿論、泣けない、と思っていたら、新人の介護士の女の子が、信じていたものに裏切られ、壊れて乱心してしまったことにこみ上げて来るものがありました。
この業界に、希望を持って臨んでいても、ことごとくひっくり返されてしまうことが多く、心が折れることが多いです。
福祉の学校に入って勉強して、せっかく資格を取って就職しても、1年後には8割が退職してしまう現実が、この介護業界にはあります。
当たり前に、殺人はいけないのですが、そこまで追い詰められてしまった加害者に対して、容赦なく正義面をぶつけるマスコミや、蓋をして突き放す行政に苛立ちを感じます。
我々は普通、利用者に対して手を挙げることはしませんが、利用者からの暴力はしょっちゅう受けてます。女性職員は男性利用者に触られることもあります。
手を出せば、虐待や暴力として職員は罰せられますが、利用者から暴力を受けても、あまり問題にはなりません。同僚の中には、引っ掛かれて出血までに及ぶ傷を作った人。蹴られた拍子にひっくり返ってしまい、その後も続く腰痛持ちになった人。杖で思い切り叩かれて、青あざを作った人。ボクも殴られたことが何回もあります。
でも、そこはキッチリと記録に残して、家族に伝えます。
劇中42人殺してますが、42家族のうち、2家族しか介護現場の壮絶さが描写されてません。
40家族それぞれドラマがあったと思うのですが、尺が短すぎ。
風俗のお姉ちゃんたちがニュースを目にするシーンもあったのですが、その辺をもっと追及して欲しくて、物足りなさを感じました。
原作を読みたいと思います。
この本を持っているのですが、手が空いたら読もう、と思って、そのまま何処かに行ってしまいました。
施設の現場で起きた殺人を取り上げた小説です。
ネットから画像を拝借しました。
もう一度観てみようかな、とも思う映画でした。