NHK少年ドラマシリーズ「タイム・トラベラー」そして… その1
かつてNHKで『NHK少年ドラマシリーズ』と呼ばれるものが放送されていた。
1972年から1983年までの間に99本の作品が制作・放送されている。
ジャンルはSF、学園モノ、文学作品から海外のドラマなど多岐にわたっており、中には「ねらわれた学園」「七瀬ふたたび」など後にテレビドラマ化、映画化されたものが、実は何年も前にこの『NHK少年ドラマシリーズ』において既に映像化されていたのである。
先日公開された映画「幕末高校生」も、遡ること37年も前に「幕末未来人」と言うタイトルでドラマ化されている。
1972年1月1日より毎週土曜日
午後6時5分から6時35分までの30分間、全6回の放送。
ドラマの始まりは、暗い部屋で椅子に座った男性の語りで始まる。
声は城達也さん。自身の顔が出ない様にライトを押さえている。
この時、語られる内容は、国内外で実際に起きた、まるでタイムスリップ、またはタイムリープしたとしか思えない現象である。
語り終えると・・・
・・・幻想的な音楽と共にタイトルが表れ・・・
・・・原作となる作品のタイトル。
このドラマは「時をかける少女」の初めての映像化なのである。
出演は・・・
・・・島田淳子さん。
後の浅野真弓さん、15歳の時である。
そして・・・
・・・木下清さん。青春ドラマでよく見かける方である。
・・・石山透さん。
原作の「時をかける少女」とは・・・
中三コース・昭和40年11月号から翌年の41年・高一コースの5月号にわたって計7回連載された筒井康隆氏のSF小説である。
主人公・芳山和子は放課後、掃除中に理科室で嗅いだラベンダーの香りをきっかけに、タイムリープする能力を得てしまう。
その真実とは・・・
昭和47年より鶴書房から発行されたもの
表紙をめくると他の代表作。
主人公・芳山和子
深町一夫
浅倉吾郎
「時をかける少女」を知っている方は、ストーリーよりも登場する“ケン・ソゴル”という名前の印象が強い。
ケン・ソゴルって誰・・・?
実は、私はテレビの「タイム・トラベラー」を全話通して観た記憶が曖昧なのである。
この「タイム・トラベラー」は人気があって、その年の昭和47年7月に再放送されていて、むしろそっちの方を観たのではないか、と思うのである。
それでもドラマの内容をあまり覚えていない・・・
何故ならば、午後6時過ぎと言えば、父親が仕事から帰って来る前に、母親から
「早う(はよう)風呂入っときんさい!」
と、けしかけられる時間帯なのである。
しかし「タイム・トラベラー」というドラマはとても印象が濃く、
“勉強のNHK”と言うイメージの、堅苦しいテレビ局が、こんなドラマを放送してもいいのか?
と思ってたのである。
原作は「時をかける少女」である、というのは理解していた。
小学校3年生の頃、画像と同じ本を教室に持ってきた女の子がいた。
「お姉ちゃんが買うた(こうた)んよ」
と言っていた。
クラスで何人か「タイム・トラベラー」を知っている者もいたが、読もう、とまでする者はいなかったので、順番を待たずして、その女の子から借りて読むことにした。
一週間かかって読んだ。他に二篇の短編が掲載されていたが「時をかける少女」だけで精一杯だった・・・
でも、どうしても、何度も読みたくて、お小遣いをためて、自転車に乗って本屋巡りをした思い出がある。
ようやく手に入れた。何度も読めるように、本棚へは簡単に手に取れる位置に置いたりした。
かくも中学生はこんなに大人なのか?
ボクも中学生になったら、芳山和子のような女の子と友達になりたい、と思うようになった・・・
さらにSFと言えば・・・
以降、SFの虜になったものである。
さて・・・
実は「タイム・トラベラー」
NHKには映像が残ってないのである。
ビデオ撮りしていた当時、テープは高価で、放送後はテープに記録されたものは消して、次の放送映像を上書きしていたのである。
しかし、当時このドラマのファンで、親が電気屋をしていたという一般視聴者が、売り物である店内のビデオデッキを使って録画してあった最終回のみが発掘され、それをNHKに提供。DVD化実現に至ったのである。
DVDパッケージ
このブログを始めた時から「時をかける少女」と『NHKドラマシリーズ』はプロフに好きなものとして設定しているのですが、いつか書庫を作りたい、と思ってのことです。