ジークフリートの遊ぶログ

そそっかしくて、キーボードタッチのミスに気が付かないことが多く、過去に投稿した記事も観直しながら編集しています。

活弁シアター 「月よりの使者」

 
久し振りの更新です。

もう一週間経ちましたが、ある映画を拝見した時の感想です・・・
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         チラシ

※ ボケてしまいました。

「月よりの使者」
 
という無声映画です。
1934年・昭和9年、新興キネマ・入江プロダクション制作。

場所は・・・

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市内の中心部にある、ここ・・・

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・・・広島市立図書館と併設の広島市映像文化ライブラリー
奥に見える建物はロイヤルワシントンホテル
 
図書館は数年前利用したけれど、映像文化ライブラリーは実に数十年振り?になる。
 
まだ、ビデオデッキが20万円以上、ビデオソフトも、今のように安価でなく、一本一万円以上もしていた頃。友人に誘われてテレビアニメ作品を観に行ったきり。
ここは劇場だけでなく、モニターで映画やテレビ番組が観られるブースがある。
久しく行ってないので、今でも存在しているのかどうか分からないけれど、
記憶にあるのは、
その者が、両側から聞こえる程度の音量が流れるスピーカーが仕込まれたもので頭を囲う大きな椅子に座り、お金を投入して、リストにある番号を押すとモニターに映像が現れる、というものだった。
 
上映開始は14時からだったが、念の為、12時に行ってみた。
特に指定席も整理券もないけれど、入場券販売は13時から。
しかも窓口でなく、券売機で購入する仕組みになっていた。
 
13時まで時間があるので、特別展示として“鈴木三重吉”展があったので、そこで時間潰しをすることに。
 
しかしながら『赤い鳥』の実物や、ゆかりのある作家として夏目漱石の『吾輩は猫である』の実物や、何と芥川龍之介の『蜘蛛の糸』の生原稿を観ることが出来て得した気分。
これが入場無料だったから驚き!
  
13時になったので、すぐに劇場へ行き、券売機で入場券を購入。
510円だった。
 
ホールへ入ると既に何人か席についていた。
 
 
映画はともかく、これに声やナレーションを充てて命を吹き込む活動弁士
 
に関心があったので、最前列の席に座る。
 
活動弁士とはこの方・・・
  
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澤登翠(さわとみどり)さん
 
無声映画・・・時代劇やロマンスのみならず、チャップリンなどの洋画にも声を充てておられる。
 
『月よりの使者』とは・・・
 
舞台は長野県の高原にあるサナトリウム
複雑な過去を持つ野々口道子(入江たか子)は、辛い過去から逃れるために、今では看護師としてこの療養所に勤務している。
類稀な気高い美貌の持ち主であることから「月よりの使者」と患者達からは呼ばれていた。
 
そんな患者の中に、転地療養に来た弘田進(高田稔)と橋田広(牧英勝)がおり、道子は磨日分け隔てなく献身的に患者の看護にあたっていたのだが・・・
 
 
これまでにも何度か映画化、テレビドラマ化された久米正雄の小説であるが、全くの未見であった。
主演の入江たか子、と言えば“化け猫女優”と言われ、娘の入江若葉さんもまた女優。
私は、この入江若葉さんが演じた『宮本武蔵』のお通が大好きだ。
映画が上映される前、映像文化ライブラリーの職員による紹介の後、澤登翠さん自身による挨拶の言葉があった。
その中で、入江たか子さんは、広島関係しているのは『時をかける少女』に出演されている、と言われた。
おぉ、そう言えば、娘の入江若葉さんと、親子共演されたなぁ、と思い出した。
そして彼女は、身長が162センチあったそうだ。
 
映画が始まる・・・
 
何と、ギターとフルートの生演奏付き。
最前列なので、ほんの足先に二人の演奏者がいることに。
 
昭和9年の無声映画なので1時間ちょっとかな、となめていたが、実に2時間以上の尺の、重くて見応えのあるものだった。
その間、澤登翠さんは、解説だけでなく、ナレーションや男女関係なく、演者のセリフを喋り続けていた。
ご自分で脚本も制作されるようで、聞いていてとても新鮮な感じがした。
映画に出演されていた役者の中で知っていたのは、入江たか子さんと、浦辺粂子さんだけだった。
 
この浦辺粂子が若い!
気になる嫁さん』の時の“ばあや”とは程遠い、とてもスリムな女性だった。
 
15時過ぎには終わるだろう、と思っていたのに16時を遥かに超えていた。
 
この澤登翠さん・・・
気になっていたのは随分前だったけれど、本格的に探してみよう、し思ったのは今年に入ってから。
 
それは今年の始めにBSで放送された・・・
 
 
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・・・『ゆびきり』
 
 
という1973年1月から4月まで放送されていたドラマに・・・
 
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・・・はらなつめ名義で出演されていたことに発する。
 
はらなつめさんは、第四回から出演。
 
役どころは理髪店(桜井センリが店主役)の助手・・・
 
 
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・・・何をやっても捕り得はないが、漫画を読むのがとても上手いのである!
 
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・・・まるで講談のように、コマの解説や、キャラクターの吹き出しを抑揚をつけて朗々と読み上げるのである。

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・・・毎回、面白く漫画を読み上げるそのシーンは圧倒される。


ドラマ終盤では・・・

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・・・勤務する理髪店の割引券配布を目的とした紙芝居も披露。

このお姉さんは誰だろう?

と、当時思っていたことを、今年BSを拝見してから思い出した。
 
ネットで検索しても
“はらなつめ”でヒットしない。

知恵袋で、同じ考えを持った人はいないか、と検索すると、

“現在、澤登翠として活弁士として活躍されている”
 
と回答があったのを起動力に、情報を集めている最中、偶然、広島での上映会に辿り着くことが出来たのである。おそらく70歳くらいになられていると思うのだが、実に2時間以上も語られた。
 
終わった後、事務室に戻られる途中の澤登さんと、厚かましく少しだけ話しをさせていただいた。
 
「今年『ゆびきり』と言うドラマをBSで久し振りに拝見しました。当時、この散髪屋のお姉さんは誰なんだろう?と探してましたが、今回、こうして辿り着くことが出来ました。また拝見したいです。ありがとうございました」
 
みたいなことをまくしたてて、握手までさせていただいた・・・
 
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外に出るとすっかり秋めいた日差しになっていました。
後で更に調べてみますと、澤登翠さんには4人の門下生がおられるとのこと。
また「星の王子様」を朗読したCDも販売されている、とのことです。
 
無声映画に声を充てる、古くて新しい、とても面白い映画鑑賞でした!
 
※ヤフーブログからの引っ越し記事ですが、写真も文章もグチャグチャになっ
 
てます。直せません。訂正出来ない部分は黄色文字にしました。